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2014/03/11

No. 0 序章

オシロスコープ入門

CQ出版社発行の電子工学の専門書「オシロスコープ入門」では、初心者を対象に、オシロスコープの基礎知識やその操作などに関して、平易な言葉で易しく説明しています。しかし、紙面の都合で省略したり、詳しく説明しなかった事柄も多々ありました。

オシロスコープ入門
CQ出版社発行
ISBN4-7898-1189-1
これまでも、多くの方からご意見やご質問を頂き、その都度、個々にお応えしていますが、それは一対一での対話でしかなく、多くの方への対応が出来ないでいました。

今回、それらを補完する意味も含め、この「ブログ」では初心者を対象に、改めて、オシロスコープの基礎知識やその操作などに関する新たな情報を提供していきます。

著書「オシロスコープ入門」では、サブタイトルとして「電気に弱い人にもわかる2現象オシロの簡単操作ガイドブック」として、これからオシロスコープの操作を習いたい人、使い始めて間もない人、あるいはみようみまねで取りあえず使っている人々など、いわゆるビギナーを対象にオシロスコープの使い方を説明しています。

それ故、オシロスコープがどのような仕組みで動作しているかなど、ここでは細かく説明していません。オシロスコープそのものはブラック・ボックスであっても、オシロスコープの操作の習得に支障はありません。
オシロスコープ (Oscilloscope)
どのようにすれば波形の観測ができるのか?、交流電圧や周波数を求めるには?精度の高い測定方法は?など、実践的な内容に重点をおいています。

理系の人でないと理解し難いオームの法則やデシベルなど、電気の専門知識が必要な記述は使わず、文系の人にも理解しやすいように別の表現に変えたり、オシロスコープの操作の習得に限れば、急いで知る必要もないと思われるものはあえて省略しました。

以下は本書の章タイトルですが、ぜひこの機会にお読み頂きプロフェッショナルへの道を目指して頑張ってください。

「オシロスコープ入門」 CQ出版社発行 ISBN4-7898-1189-1

第 1 章 波形と電圧との関係
第 2 章 ブラウン管の基礎知識
第 3 章 オシロスコープの動作原理
第 4 章 ノブ(つまみ)やスイッチの説明
第 5 章 オシロスコープの操作方法
第 6 章 2現象オシロスコープの操作方法
第 7 章 オシロスコープの基本測定
第 8 章 リサジュー図形の仕組み
第 9 章 プローブ (Probe)
第 10章 測定時の誤差
第 11章 スキルアップ・テクニック
第 12章 FAQ (よく聞かれる質問)
第 13章 定格の読み方
第 14章 オシロスコープの用語集
インデックス
Appendix 遅延掃引(Delayed Sweep)

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このブログ以前に、公開している私の同名のホームページ「オシロスコープ入門」があります。ご興味のある方は「ここ」へアクセスしてご覧ください。
なお、この「オシロスコープ入門」の記述内容に関するご意見ご質問などがありましたら、このブログの Gmail 宛てか、上記ホームページにも私宛の Mailtoがありますので、ご利用ください。
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「オシロスコープ入門」  増刷!
2015年2月に第14版が発行されました。書店経由で入手出来る最後のチャンスかも?

No. 1 習うより慣れろ・・・・

習うより慣れろ・・・・

「オシロスコープ入門」は、初心者を対象にしているので、難解な回路構成や信号処理にはあえて触れず、オシロスコープの概念と基本的操作、使い方に絞ってやさしく解説しています。

オシロスコープ入門
CQ出版社発行
ISBN4-7898-1189-1
オシロスコープのハードウェアの説明よりも、どのように操作すればオシロスコープの機能を100パーセント活用できるのかを説明することにウエイトをおいてます。ぜひ、皆さんも本書を片手にオシロスコープを操作してみてください。
習うより慣れろ・・・・意外に簡単であることがわかってくると思います。

「オシロスコープ入門」でマスターすることはオシロスコープのベーシックですから、その基本的な考え方は将来も変わることはありません。今後、皆さんのオシロスコープによる測定技術の向上に少しでもお役に立てば幸いです。

これ以降は「ブログ」的なスタイルで初心者を対象にオシロスコープのアレコレをアップしていきたいと考えています。ブログ故に、私の思いつくまま、あまり順序立てた構成にはなりませんが、オシロスコープを使う上でのヒントになればと思っています。

No. 2 オシロスコープとは

オシロスコープ (Oscilloscope) とは

オシロスコープとは、時間の経過と共に電気信号(電圧)が変化していく様子をリアルタイムでブラウン管に描かせ、目では見ることのできない電気信号の変化していく様子を観測できるようにした波形測定器です。
オシロスコープ (Oscilloscope)
このブラウン管は、ドイツ人のブラウン(Karl Ferdinand Braun)が、大学の学生に電流の波形を見せるための教材として1897年に試作した陰極線管(Cathode Ray Tube)が原型とされ、今では彼の名前で広く呼ばれるようになりました。

今はプラズマや液晶画面が主流ですが、少し前までテレビジョンに多く使われていたブラウン管は、オシロスコープのものとは仕組みが異なりますが、ルーツを遡れば同じ所へ行き着きます。

オシロスコープは、このブラウン管上の輝点の動きの速さや振れの大きさを測ることで、間接的に電気信号の電圧の時間的変化を簡単に測ることができます。

ですから、測定しようとする現象が電圧の形に変換できれば、電気信号の変化だけでなく、温度、湿度、速度、圧力・・・・など、色々な現象の変化量を測ることができます。

また、メータ類と大きく異なるところは、単にその電圧の平均的な値を測るためのものではなく、電圧が変化していく様子を時々刻々と目で追いかけたり、突発的に発生する現象も捉えることができます。

しかも、非常に高い周波数の電気信号の変化もブラウン管に描くことが可能で、エレクトロニクス分野のエンジニアには必携の波形測定器として重宝がられています。

 

No .3 テスターでは50Hzや60Hz程度の交流電圧は測れるが、速く振動する交流は測れない

テスターでは 50Hzや 60Hz程度の交流電圧は測れるが、速く振動する交流は測れない」

私たちの身の回りには、直流と交流があります。
直流といえば、私たちの身近にある家電製品の多くに使用される乾電池があります。自動車には充電可能な蓄電池が積まれています。
その電流が流れる向きは常に一定で、直流電圧はテスターを使えば誰でも簡単に測ることができます。

一方、交流は電流の流れる方向が交互に入れ替わるもので、身近な例では、家庭で使用される商用電源 100V (東日本では 50Hz、西日本では 60Hz) がそれにあたります。

50Hzの場合は、1秒間に 50回それを繰り返すわけで、仮にとても動きが軽くゼロの目盛が中心にあるメータで測れば 1秒間に 50回の割でその指針が左右に振れることになります。

しかし、現実にはこのようなメータはありませんし、仮にあったとしても私たちにはその動きを目で追うことはできません。

一般家庭に入っている交流を「100V」とテスターで測っていますが、実は瞬間瞬間で電圧が変わるこの交流電圧を、エネルギー的に等価な直流電圧に置き換え、その時に測った電圧値を「実効値」と定義しています。

一般家庭に入っている交流を「100V」と言うのは、この実効値でのことです。しかし、オシロスコープでその波形を見ると、正弦波として見えて、波形の最大になる点(最大値と言います)が約 141V であることがわかります。

ですから、テスターでは、常にその電圧値が高速で変化している交流(あるいは高周波)の瞬間瞬間の値を測ることは不可能なのです。

そこで、考案されたのがオシロスコープです。
オシロスコープは「電圧」の「時間的な変化」をブラウン管上に波形として描き観測するための測定器です。

余談ですが、
数式で言えば、「実効値」のルート2倍(約 1.414倍)が「最大値」になります。ただし、これは正弦波の時に限ります。念のため。
また、私たちの家庭で使用している 100Vもそうですが、交流電圧では断りのない限りその電圧値は「実効値」です。

No. 4 ブラウン管の基礎知識

「ブラウン管の基礎知識」

オシロスコープは、ブラウン管を使用して電圧の変化を時間を追って私たちの目に波形として見えるようにして、その振幅や時間的に変化していく様子を測ることを目的にした波形測定器です。

オシロスコープ
■ブラウン管の種類
オシロスコープの心臓部にあたるブラウン管は、テレビのブラウン管とはその仕組みが少し異なっています。
オシロスコープに用いられているブラウン管は静電偏向形で、テレビに用いられている電磁偏向形と原理的には同じですが、内部を高速で移動する電子ビームを偏向(曲げる)する方法が大きく異なります。

■電磁偏向形ブラウン管
電子の偏向(曲げる)角度が大きく取れるので蛍光面が広く、テレビ用のブラウン管として適していますが、高い周波数には対応できないのでオシロスコープにはほとんど使用されていません。

■静電偏向形ブラウン管
この方式は偏向(曲げる)角度が電磁偏向形のブラウン管より小さいため、ブラウン管の蛍光面サイズも75 mmから150 mm位までが実用サイズのようです。しかし、この静電偏向形は高い周波数にも対応しているのでオシロスコープに適しています。

No. 5 静電偏向形ブラウン管の構造

「静電偏向形ブラウン管の構造」

静電偏向形ブラウン管は、電磁偏向形ブラウン管に比べ胴回りがスリムなボトル・タイプの形状で内部は真空状態になっています。
その底面が蛍光面 (波形が描画される面)、胴体部分がコーン部、首に近い部分がネック部と呼ばれています。
蛍光面は長方形が主流になっていて、注ぎ口に相当する部分はソケットで、電気回路へ接続するピンが付いています。また、一般的な内部構造は、下図のように

■ 電子銃部(ガン)
■ 偏向部(ヨーク)
■ 蛍光面(スクリーン)

の三つの部分で構成されています。これらをボトル・タイプのガラスの容器に納め、その内部を高い真空状態に保つことで、電子が飛び出し易い空間を形成しています。
大雑把に言えば、このブラウン管は、電気信号を波形として私たちの肉眼で見られるような形に変換してくれるマジック・ボックスと言ってもよいでしょう。

次に、このブラウン管の内部構造について、電子銃部(ガン)、偏向部(ヨーク)、蛍光面(スクリーン)の順にそれぞれ説明していきます。

No. 6 ブラウン管の構成とその機能

「ブラウン管の構成とその機能」

ブラウン管の内部は、大別すると、電子銃部(ガン)、偏向部(ヨーク)、蛍光面(スクリーン) の三つの部分から構成されています。


■電子銃部 (ガン)
これは蛍光面に細く集束された電子ビームを高速度で衝突させるための電極部分です。通常はガン (Gun・・・・銃の意味)と呼ばれ、電子を発射することに由来して名付けられた様です。電子銃部は、ヒータ、カソード、第1グリッド、第2グリッド、第1陽極、第2陽極などにより構成されています。

■偏向部 (ヨーク)
カソードから放射された電子ビームはいくつかの電極の働きで集束され蛍光面に衝突し輝点となって見えるわけですが、観測する交流の波形を描かすには、何らかの方法でこの輝点を蛍光面上で動かす必要があります。
この電子ビームを動かす働きをするのが電子銃部と蛍光面の間にある偏向部です。
静電偏向形のブラウン管は、電子銃より前方のネックに近い位置に偏向板が2組配置されていて、この偏向板に加える電圧を加減することにより電子ビームの進行方向を上下左右に変えることができます。

■蛍光面 (スクリーン)
ブラウン管の蛍光面 (スクリーン) は言うまでもなく波形が描かれる部分です。長方形のこのスクリーン部は、対角寸法では130 mm〜150 mmが一般的で透明なガラス材の内側に蛍光物質が均一に塗布してあります。
この蛍光物質にも、発光色、輝度、残光時間など、それぞれに特徴があり用途によって使い分けられています。電子銃から飛んできた電子ビームが高速でスクリーン内側の蛍光面に衝突して緑色や青白色に発光します。

No. 7 垂直偏向板に直流電圧を加え電子ビームの進行方向を曲げる

「垂直偏向板に直流電圧を加え電子ビームの進行方向を曲げる」

直流電圧を垂直偏向板に加えたら、輝点はどのように動くでしょうか?

垂直偏向板に電圧を加えない時には、電子ビームは直進しますが、上の偏向板にプラスの電圧を加えるとどうなるでしょうか?

上下の偏向板の間に電位差が生じ電子はマイナスの電荷を帯びていますから、電子の寄り集まった電子ビームは上の偏向板の方向へ引っ張られ進行方向が上の方へ曲げられます。

反対にマイナスの電圧を加えるとどうなるでしょうか?分かりますね、前と反対にマイナスとマイナスで反撥して逆の方向(下の方向)へ曲げられてしまいます。

どちらの場合も電子ビームの進行方向が変わりますから、蛍光面に到達した時には、電圧を与えなかった時の位置(蛍光面の中央部)から上の位置または下の位置に衝突して発光するわけです。

では、直流電圧を水平偏向板に加えたら、輝点はどのように動くでしょうか?

No. 8 水平偏向板に直流電圧を加え電子ビームの進行方向を曲げる

「水平偏向板に直流電圧を加え電子ビームの進行方向を曲げる」


直流電圧を水平偏向板に加えたら、輝点はどのように動くでしょうか?

同じように、水平偏向板(X軸偏向板)にプラスの電圧を加えると、その偏向板の方向へ電子ビームは曲げられ、マイナスの電圧を加えれば反対の方向へ曲がります。

では、交流電圧を垂直偏向板に加えたら、輝点はどのように動くでしょうか?

No. 9 交流電圧を垂直偏向板に加えたら、輝点はどのように動くか?

「交流電圧を垂直偏向板に加えたら、輝点はどのように動くか?」

交流電圧を加えるとどうなるでしょうか?

交流電圧も瞬間瞬間ではある電圧(瞬時値)を示すわけですから、例えば、50 Hzの交流電圧を垂直偏向板に加えると、毎秒50回周期的に電圧が増減を繰り返します。


直流電圧を加えた時には輝点の位置が移動するだけでしたが、交流電圧で、蛍光面の輝点も電圧の変化に追従して上へ下へと往復を繰り返し、私たちには輝点の動きではなく1本の明るく光る線(輝線)として見えます。

この交流電圧を下げていくと輝線は短くなり、逆に電圧を上げていくと輝線は長くなり、輝線の長さは偏向板に加える電圧に比例しています。

No. 10 波形がブラウン管に描かれる仕組み

「波形がブラウン管に描かれる仕組み」

交流電圧(正弦波)を垂直偏向板に、ノコギリ波を水平偏向板に同時に加えたら輝点はどのように動くでしょうか?

(なお、「ノコゴリ波」とは、大工さんの使う鋸の様な形をした波形のことで、三角形の形からその様に名付けられています)

まず最初に水平偏向板にノコギリ波を加えると、蛍光面上で光る輝点は左端から右へ等速度で移動します。蛍光面中央を横切って右端まで行くと一瞬消滅しますが、すぐに先程と同じ左端に現れ、再度右へ移動を始め、以後この動作を繰り返します。

通常はノコギリ波の繰り返し周期が速いため、輝点の移動というよりむしろ一本の輝線として見えますが、この動作をオシロスコープでは掃引する(Sweepする)と言います。

次に、この状態で垂直偏向板にノコギリ波と同じ周期の正弦波を加えると、蛍光面の輝点の動きはどうなるでしょうか?


上図のように、水平偏向板に 1 Hz(1周期が1秒)ノコギリ波を加えてみます。

一定のスピードで電圧が上がっていきピークに達すると急激にゼロへ戻るノコギリ波では、輝点は蛍光面の左端 0 点からスタートし右方へ等速度で移動 1 → 2 → 3 → 4 で中央を通過し 5 → 6 → 7 → 8 で右端に到達します。そして、次の瞬間に左端 0 へ戻ります(この後も順次この動作を繰り返します)。

同時に、垂直偏向板に 1 Hz(1周期が1秒)の正弦波が加えます。

同じ0 点からスタートし 1 → 2 で最大(+のピーク)になりで 3 → 4 でゼロ、そして 5 → 6 で最大(−のピーク) になり 7 → 8 で右端の元の点に到達します(この後も順次この動作を繰り返します)。

この動きを追うと、 0 → 1 → 2 → 3 → 4 → 5 → 6 → 7 → 8 と輝点は水平方向に等速度で進み、同時に 0 → 1 → 2 → 3 → 4 → 5 → 6 → 7 → 8 と垂直方向に正弦波の振幅に応じた距離だけ移動します。この動きが輝点の軌跡として描かれるわけです。

文章での説明では難解かもしれません、「ここ」へアクセスしてみてください。

大雑把ですが、これがオシロスコープの原理です。

No. 11 オシロスコープの基本的な動作

「オシロスコープの基本的な動作

ブラウン管の電子銃から飛び出した電子ビームは、その前方にある偏向板に電圧を加えれば、プラスの電位を持った偏向板の方へ(電子ビームは)引っ張られ、それまで直進していたビームはその電圧に比例した角度で曲げられます。これは垂直方向も水平方向も同じように作用します。

垂直偏向板に正弦波の交流を加えると、電子ビームは上下移動を繰り返し蛍光面中央に縦に輝線が1本描かれます。

ここまでは前にありますが、

では垂直偏向板と水平偏向板に同時に交流電圧を加えるとどうなるでしょうか?

下図は、周波数も電圧も同じ、位相差が45度ある二つの正弦波によって蛍光面に描かれた図形です。

リサジュー図形

この図形は「リサジュー図形」と呼ばれます。
このリサジュー図形は、それぞれに加えられた交流電圧の波形の形やその繰り返し周期によって幾何学的な図形が蛍光面に描かれます。

オシロスコープでは、波形を描かせるためにこのリサジューを応用し、水平方向には時間の経過に正比例して変化する電圧を、垂直方向には観測する信号の電圧をそれぞれ同時に加えることにより、信号電圧の時間的な変化を観測することができる仕組みになっています。

No. 12 リサジューとは何か?

「リサジュー」とは何か?

「リサジュー」とは、相互に直角方向に振動する二つの単振動を合成して得られる平面図形のことを言います。これは、1855年にフランスの科学者J.A.Lissajousにより考案され、今ではオシロスコープの測定方法の一つとしても有名です。

下図は、周波数も電圧も同じ、位相差が45度ある二つの正弦波によって蛍光面に描かれた図形です。


位相だけが連続的に0度から360度まで変わる場合は、「ここ」をクリックしてください。アニメーションが見られます。

なお、和文表記では「リサジュー」の他に「リサージュ」、「リサジュ」、「リサジウ」などの表記がありますが、ここでは文部省・社団法人電気学会編、「学術用語集 電気工学編」に基づいた表記「リサジュー」を用いています。

No. 13 ブラウン管にはどのような波形が

「垂直軸に 1 Hzの正弦波を加え、水平軸に 1 Hzと 0.5 Hzのノコギリ波を加えるとブラウン管にはどのような波形が描かれるでしょうか?」

図(a)のように、水平軸に 1 Hzのノコギリ波を加えてみます

一定のスピードで電圧が上がっていきピークに達すると急激にゼロへ戻るノコギリ波では、輝点はスクリーンの左端 0 点からスタートし右方へ等速度で移動 0 → 1 → 2 → 3 → 4 で右端に到達します。そして、次の瞬間に左端 0 点へ戻ります(この後も順次この動作を繰り返します)

垂直軸に 1 Hzの正弦波が加えると、同時に同じ0 点からスタートし 0 → 1で最大(+のピーク)→ 2 でゼロ、そして→ 3 で最大(−のピーク)→ 4 でゼロ、と1周します。(この後も順次この動作を繰り返します)。

図(a)でこの動きを追うと、 0 → 1 → 2 → 3 → 4 と輝点は水平方向に等速度で進み、同時に垂直方向には 0 → 1 → 2 → 3 → 4 と1周、正弦波の振幅に応じた距離だけ移動することになります。

次に、水平軸に 0.5 Hzのノコギリ波を加えてみます(図(b))

今度の輝点の動きは蛍光面(スクリーン)の左端 0 点からスタートし右方へ等速度で移動 0 → 1 → 2 → 3 → 4 で中央を通過し4 → 5 → 6 → 7 → 8 で右端に到達します。そして、次の瞬間に左端 0 点へ戻ります(この後も順次この動作を繰り返します)。



この時の輝点の垂直方向の動きは、0 点からスタートし 0 → 1で最大(+のピーク)→ 2 でゼロ、そして→ 3 で最大(−のピーク)→ 4 でゼロ、これで1周し、続けて、4 → 5で最大(+のピーク)→ 6 でゼロ、そして→ 7 で最大(−のピーク)→ 8 でゼロと更に1周します。

このように、時間が経過する瞬間瞬間での信号の大きさを刻々とプロットすることで、その変化していく様子を波形として捉えることができます。

そして、同じ周波数の波形でも掃引周波数(ノコギリ波の周波数)を変えてやれば、蛍光面(スクリーン)に表示される波形の周期を変えることができます。

このようにオシロスコープでは、水平方向にノコギリ波を用いることがたいへん重要なポイントで、時間の流れをブラウン管の中に作り出しているわけです。

以上は文章にすると大半難解ですが、「その10」で説明済みの事で、このページでは、ノコギリ波の周波数が半分になったらどうなるかを説明しているだけです。

つまり半分になると蛍光面(スクリーン)に描かれる波形は二周期になることがわかります。逆にノコギリ波の周波数が二倍になったら蛍光面(スクリーン)に描かれる波形は半周期分になるわけです。

No. 14 波形を静止させる為には同期を取る

波形を静止させる為には同期を取る必要がある

ただ単に垂直軸と水平軸へ信号を加えただけでは、蛍光面(スクリーン)の波形を安定した静止状態で観測することはできません。両方の信号の周期のタイミングを合わす、つまり、同期をとる必要があります。

電子ビームを掃引(水平方向に振らせること)するにはノコギリ波を用いますが、同期をとるためには、垂直軸へ加える信号電圧のどの部分で(あるいは、どの時点で)ノコギリ波をスタートさせるかを決めることと、それを正確に繰り返すことが必要です。

オシロスコープ (Oscilloscope)

この同期には、同期掃引方式とトリガ掃引方式の2種類があります。

同期掃引方式

この方式は、掃引用のノコギリ波を発生させ、蛍光面(スクリーン)の波形を見ながらその周波数を手動で調節し、波形が静止して見えるように同期をとる方式です。

静止して見えるためには観測する信号の周波数と掃引用のノコギリ波の周波数が整数比の関係を保っていることが必要です。

それには観測信号の周波数成分を取り出し、それを同期信号としてノコギリ波の発生周波数が整数比になるように手動で制御するわけです。

このため、観測信号が無くなると、ノコギリ波の発生回路固有の周波数でノコギリ波が発生し、蛍光面(スクリーン)では水平に輝線が1本描かれます。

この方式は電子回路の構成が簡単ですが、安定度や高精度のニーズに応えられず、現在では低周波測定用として少数が使われているようです。

トリガ掃引方式

同期掃引方式のノコギリ波発生回路が観測信号の有無に関わらず動作しているのに対し、この方式の特徴は、観測信号が無い時にはノコギリ波は発生しません。

観測信号が入ってくると、その信号の一部を同期信号として取り込み、それからトリガ・パルスを作り、ゲート回路を通してノコギリ波の発生回路が初めて動作しノコギリ波が1個発生する仕組みになっています。

連続的に信号が入ってくると、その度にこの動作を繰り返し波形が次々と描かれることになります。

つまり、観測信号が入ってくるとノコギリ波が自動的に発生し蛍光面(スクリーン)に波形を描くわけで、同期掃引方式のように手動で波形を静止させる必要がありません。

このトリガ掃引方式では、発生するノコギリ波の周波数を観測する信号の周波数とは無関係に決められるので、波形の一部分だけを蛍光面(スクリーン)に描くことも簡単にできます。

トリガ掃引方式が同期掃引方式に勝る

トリガ掃引方式は、垂直軸の電圧目盛や水平軸の(掃引)時間目盛の精度が同期掃引方式に比べて格段に優れています。しかも、波形の任意の部分を描くことができ、1回しか発生しないような現象や、非常に高速で変化する現象も簡単に観測できる優れものです。

それ故、現在ではオシロスコープの殆どがこのトリガ掃引方式です。

No. 15 オシロスコープの回路構成

トリガ掃引方式オシロスコープの回路構成

オシロスコープの回路構成をブロックダイアグラムで示し、ブロック毎の動作を簡単に説明します。



「入力減衰器」

オシロスコープへ入力される観測信号は、一般的に0.1 mV位から500 V位までと、かなり幅があります。

入力された信号電圧によっては、蛍光面(スクリーン)に描かれる波形が拡大され過ぎて一部分しか見えなかったり、また反対に小さ過ぎて波形の形が見えないこともあります。

このような時に、この減衰器で減衰量を増減して蛍光面(スクリーン)に描かれる波形をちょうどよい大きさにします。

「垂直プリアンプ」

減衰器で適当なレベルに調節された信号電圧を、歪みなく増幅する広帯域増幅器です。

「遅延回路」

遅延回路とは物理的には遅延ケーブルのことで、電気信号がこのケーブルを通過する時に0.2マイクロ秒位遅れます。

高速で変化する電気信号を観測する場合に、蛍光面(スクリーン)に表示される波形の最初の部分が見える様にする為です。

「垂直メイン・アンプ」

遅延回路を通過した広帯域の信号を歪みなくブラウン管の垂直偏向板を駆動するに必要な電圧まで増幅します。

「トリガ発生器」

蛍光面(スクリーン)に描かれる波形がちらつかず安定に見えるためには、常に波形の同じ点から掃引を始める必要があり、これを同期をとると言います。

同期をとるためには、垂直プリアンプから観測信号の一部を取り出し、その信号のある点で負のパルスを作ります。このトリガ・パルスにより掃引ゲート回路を働かせノコギリ波を発生させます。

「掃引ゲート回路」

ノコギリ波の発生をON/OFFさせるための回路です。トリガ発生器からトリガ・パルスが入力されると、この回路の出力が負となって、その状態が続いている時間だけ掃引発振器からノコギリ波が発生します。

「掃引発生器」

掃引ゲート回路からの負のゲート信号でノコギリ波を発生させます。また、ノコギリ波の掃引速度もここで増減します。

「ホールドオフ回路」

掃引の終了後、少し時間をおいて回路全体が安定状態なるまで待機させる回路です。

水平軸増幅器」

掃引発生器からの信号(ノコギリ波)を、歪みなくブラウン管の水平偏向板を駆動するに必要な電圧まで増幅します。

「アンブランキング回路」

掃引がスタートすると同時に蛍光面(スクリーン)に輝線を出し、掃引が終了した時点で輝線を消します(これはノコギリ波がピークからゼロに戻る間は輝線を見えなくするためです)

電源/高圧回路」

回路に供給する低電圧電源(数Vから数十V)と、ブラウン管の各電極に供給する高圧電源(数千V)です。

「校正電圧回路」

1 kHzの方形波信号を出力します。「入力減衰器」やプローブの校正に用いられます。

「ブラウン管」

静電偏向形が用いられています。蛍光面(スクリーン)のサイズは75mmから150mmが一般的です。

No. 16 2信号の切替方式

「2現象オシロスコープ」

オシロスコープを用いて、二つの信号を同時に表示できれば便利です。

例えばステレオアンプの入力信号と出力信号を同時に表示して増幅度や歪みを測定したり、Lチャンネル出力とRチャンネル出力を比較するなど簡単に出来ます。

原則として、オシロスコープは一つの入力信号の波形を見ることしかできませんが、現在、オシロスコープは二つの波形を蛍光面(スクリーン)に並べて同時に見ることが普通になっています。

しかも、二つに限定されず三つ、四つ、それ以上と多現象の表示ができるオシロスコープも少なくありません。なかでもポピュラーなのが2現象表示のオシロスコープです。

2現象表示用のブラウン管には電子銃が二つある2ビーム式のものもあるようですが、一般的には電子銃一つ、つまり1ビームのブラウン管をベースに、電子回路で二つの信号を交互に切り替えて蛍光面(スクリーン)にそれぞれの波形を同時に表示できるようにしたものが主流になっています。


「2信号の切替方式」

1ビームのオシロスコープで二つの信号を電子回路で切り替える方式には、

ALT(オルタ)方式
CHOP(チョップ)方式

の二つがあり、どちらの方式を使うかは観測する信号の周波数により選択しますが、可聴帯域の上限位(約20 kHz)まではCHOP方式で、それ以上の周波数の場合はALT方式が使われています。

No. 17 ALT(オルタ)方式とは

「ALT(オルタ)方式とは」

ALTとは英語でalternateの意味「交互の、かわるがわる・・・・」で、1回掃引する毎に信号Aと信号Bを交互に蛍光面(スクリーン)に表示します。

最初の掃引で信号Aを蛍光面(スクリーン)に表示し、次の掃引で信号Bを表示、次に信号Aを・・・・これを順次繰り返します。

切り替える時間が速いため蛍光面(スクリーン)では二つの波形が同時に表示されているように見えます。しかし、交互に掃引する方式のため、掃引時間を遅くしていくと表示される波形がちらついてしまい見にくくなります。

文章での説明では分かり難いと思いますので「ここ」をクリックしてください。その動作のアニメーションが見られます。

No. 18 CHOP(チョップ)方式とは

「CHOP(チョップ)方式とは」

まず、CHOPとは文字どおりプロレスの技、空手チョップのchopの意味「切る、切り刻む・・・・」です。

二つの信号を100kHz〜150kHz位の高周波信号で切り刻み、ある瞬間は信号Aを次の瞬間は信号Bをというように両方の信号を細切れ状態にして蛍光面(スクリーン)に同時に表示します。

ですから、蛍光面(スクリーン)には輝点の連続のように描かれるのですが、高速で切り替えられるため、私たちの目には連続した2本の輝線のように(実際には入力された波形が)見えます。

文章での説明では分かり難いと思いますので「ここ」をクリックしてください。その動作のアニメーションが見られます。

なお、「その17」で説明した、ALTの場合は「ここ」をクリックすると見られます。

No. 19 蛍光面 (スクリーン)と残光時間

蛍光面 (スクリーン)

ブラウン管の蛍光面(スクリーン)は言うまでもなく波形が描かれる部分です。

長方形のこのスクリーン部は、対角寸法では130 mm〜150 mmが一般的で透明なガラス材の内側に蛍光物質が均一に塗布してあります。

この蛍光物質にも、発光色、輝度、残光時間など、それぞれに特徴がありブラウン管の用途によって使い分けられています。電子銃から飛んできた電子ビームが高速でスクリーン内側の蛍光面に衝突して青白色に発光します。

ブラウン管
残光時間

輝点が発光している時間は、塗布してある蛍光物質によって長いものから短いものまであります。その蛍光物質が刺激(電子の衝突)を受けて発光してから消えるまの時間を残光時間と言います。

一般的なブラウン管の残光時間は数十ミリ秒と短く、それより長い数百ミリ秒の残光時間があるタイプを残光形ブラウン管と呼んでいます。

No. 20 目盛

「目盛」

蛍光面(スクリーン)つまり、私たちが波形を見ている面は、以前は曲面でしたが、今は平面タイプが一般的です。

図のように、波形の位置関係や波形のサイズなどを測るため、ブラウン管の内側から縦を8等分、横を10等分した目盛が格子状に付けられています。

縦線と横線で区切られた格子は正方形で、ヒトツの正方形の一辺は10 mmが一般的ですが、機種により7 mm位から10 mmまでのバリエーションがあります。


外側からは描かれる波形と重なるようにしてこの目盛が見えるようになっています。

この目盛は、縦方向が「電圧目盛」で、横方向が「時間目盛」になっています。ですから、波形の形から電圧を測ったり、時間(あるいは周波数)を測ることが出来る訳です。

No. 21 ツマミやスイッチの説明

「ツマミやスイッチの説明」

オシロスコープにはたくさんのツマミや切替スイッチが付いていて、最初はどこから手をつけてよいか迷ってしまいます。

しかし、パネルを見ていくと蛍光面(スクリーン)を中心に垂直軸、時間軸、同期回路、高圧回路など回路別にそれらのツマミやスイッチなどが配置されているのがわかってくると思います。

オシロスコープ (Oscilloscope)

ここでは、これらのツマミやスイッチについて、個々にその機能とそれを操作すると蛍光面(スクリーン)では波形がどの様(振幅や周期、位置など)に変化するかなどを説明していきます。

■ツマミやスイッチの名称 → 機能
■SCREEN → 波形が表示される蛍光面(スクリーン)
■POWER → 電源スイッチ
■SCALE ILLUM → 目盛照明の明るさを調節するツマミ
■INTENSITY → 波形の輝度を調節するツマミ
■FOCUS → 波形の焦点を調節するツマミ
■TRACE ROTA → スクリーンの輝線の傾きを修正するツマミ
■VERTICAL POSITION → 波形の垂直位置を調節するツマミ
■CH1 INPUT → CH1信号を入力する端子
■CH2 INPUT → CH2信号を入力する端子
■AC - GND - DC → 入力信号の周波数成分を選択するスイッチ
■VERTICAL MODE → 垂直入力信号を選択するスイッチ
■CH2 INV → CH2の位相反転をON/OFFするスイッチ
■X-Y → X-YモードをON/OFFするスイッチ
■VOLTS/DIV → 垂直感度を切り換えるスイッチ
■VARIABLE → 垂直感度を微調節するノブ
■SWEEP TIME/DIV → 掃引時間を切り換えるスイッチ
■SWEEP VARIABLE → 掃引時間を微調節するツマミ
■HORIZONTAL POSITION → 波形の水平位置を調節するツマミ
■×10MAG → 掃引拡大をON/OFFするスイッチ
■CAL → 校正用電圧の出力端子
■EXT. TRIG → 外部からトリガ信号を入力する端子
■GND → アース線を接続する端子
■TRIGGERING MODE → トリガ・モードを選択するスイッチ
■TRIGGERING SOURCE → トリガ信号を選択するスイッチ
■TRIGGERING SLOP → トリガ・スロープを選択するスイッチ
■TRIGGERING LEVEL → トリガ・レベルの調節ツマミ
■CH1 OUT → CH1信号の出力端子
■Z AXIS INPUT → 輝度変調用信号の入力端子

No. 22 POWER(電源スイッチ)

POWER(電源スイッチ)

電源スイッチを[ON]すると電源が入りパイロット・ランプが点灯します。
POWER
機種によって、スイッチ付きのボリュームが使われ、SCALE ILLUMINATIONツマミ(目盛照明調整)と兼用している場合もあります。

No. 23 SCALE ILLUM(目盛照明調整)

SCALE ILLUM(目盛照明調整)

蛍光面(スクリーン)の目盛を照明するランプの明るさを調節するツマミです。なお、SCALE ILLUMはScale Illuminationの略。
SCALE ILLUM
右に回すと明るく、左に回すと暗くなり、表示されている波形の輝度に合わせこのツマミで調節します。

No. 24 INTENSITY(輝度調整)

INTENSITY(輝度調整)

輝線(波形)の明るさを調節するツマミです。
INTENSITY
右に回すと明るくなり、回し過ぎるとハレーションを起こすので、波形が最も見やすい明るさに調節します。逆に左へ回すと暗くなり、ついには消えてしまいます。

No. 25 FOCUS(焦点調整)

FOCUS(焦点調整)

シャープな波形を表示するための調節ツマミです。
FOCUS
電子銃から出た電子が蛍光面(スクリーン)に衝突する時に輝点となって見えますが、このツマミを調節して輝点が最も小さく丸くなるようにします。

No. 26 TRACE ROTA(輝線傾き調整)

TRACE ROTA(輝線傾き調整

輝線を水平に修正する機能です。なお、TRACE ROTAはTrace Rotationの略。
TRACE ROTA
ブラウン管内の電子ビームは電界や磁界の影響を受けてその進行方向が変わります。
オシロスコープは電界の変化で波形を表示しますが、現実には地磁気の影響も受け、設置する場所や置く方角によって輝線が傾きます。
輝線が目盛中央の水平目盛と平行になるようにマイナスドライバで調節します

No. 27 VERTICAL POSITION(垂直位置調整)

VERTICAL POSITION(垂直位置調整)

蛍光面(スクリーン)に表示された波形を上下に移動させるためのツマミです。

左端がCH1 POSITIONツマミ、右端がCH2 POSITIONツマミ
VERTICAL POSITION
2現象オシロスコープの場合は、CH1用とCH2用とそれぞれ独立してツマミがあります。3現象オシロスコープであれば、更にCH3用が追加され、4現象オシロスコープであれば更にCH4用が追加されます。

ツマミが可変範囲の中央付近にある時は、波形も蛍光面(スクリーン)の中央にあります。このツマミを右に回すと上の方向へ移動し、逆に左へ回すと下の方向へ移動します。

波形の動きがアニメーションで見られます、「ここ」をクリックしてください。

No. 28 CH1 INPUT / CH2 INPUT(信号入力端子)

CH1 INPUT / CH2 INPUT(信号入力端子)

文字どおり信号を入力する端子です。
左がCH1用、右がCH2用

CH1 INPUT / CH2 INPUT

2現象オシロスコープの場合、CH1用とCH2用があり、それぞれが全く同じ機能をします。
3現象オシロスコープであれば、更にCH3用が追加され、4現象オシロスコープであれば更にCH4用が追加されます。

通常は附属のプローブのBNCコネクタをここに接続します。入力許容電圧がピーク値(例えば、400V peak)で表示されていますから、それを超えない範囲で使用します。

No. 29 AC - GND - DC(入力結合切替)

AC - GND - DC(入力結合切替)

回路的にはINPUT 端子とVOLTS/DIV(垂直感度調整)スイッチの間にあり、通過させる信号を交流だけにするか、直流も含めた全てにするか切り替えます。
[DC]-[GND]-[AC]
[DC] 直流から高周波信号まですべてを通過させます。
[AC] 直流をカットして交流成分だけを通過させます。
[GND] 直流の基準レベル(例えばゼロボルト)の目盛位置を設定したり確認できます。

なお、通常は[AC]にしておくのが一般的です。

No. 30 VERTICAL MODE(垂直入力切替)

VERTICAL MODE(垂直入力切替)

蛍光面(スクリーン)に表示する信号を選択するスイッチです。
VERTICAL MODE
2現象オシロスコープの場合は、CH1 INPUTへ加える信号と、CH2 INPUTへ加える信号とを、どのような組み合わせで蛍光面(スクリーン)に表示するか選択します。

必要に応じて、[CH1]、[CH2]、[ALT]2現象、[CHOP]2現象、[ADD]加算、のいずれかを選択します。

[CH1] CH1の波形だけ表示します。
[CH2] CH2の波形だけ表示します。
[ALT] CH1の波形とCH2の波形を掃引する毎に切り替え同時に表示します。
[CHOP] CH1の波形とCH2の波形を掃引時間に関係なく一定の周波数でスイッチ ングして同時に表示します。
[ADD] CH1の波形とCH2の波形を加算して表示します。

最初は[CH1]か、2現象で使うのであれば[ALT]に設定しておきます。

どの様に見えるかイラストで示してみました。「ここ」をクリックしてください。

No. 31 CH2 INV(CH2反転)

CH2 INV(CH2反転)

CH2 INPUTへ入力された信号の位相を反転(180度)するスイッチです。
なお、INVはinvertの略で、反転するの意味です。
CH2 INV
蛍光面(スクリーン)に表示されている波形を見ながらこのスイッチをON/OFFすると、反転していることが確認できます。
通常は「OFF」にしておきます。

ここ」をクリックしてください、アニメーションが見られます。

No. 32  X-Y(X-Yモード切替)

X-Y(X-Yモード切替)

このX-Yスイッチを押したX-Y測定モードでは、CH1 INPUTへ入力された信号をY軸(垂直方向)信号、CH2 INPUTへ入力された信号をX軸(水平方向)としてリサジュー図形による測定状態になります。
X-Y
CH1とCH2に同じ周波数、同じ振幅で相互の位相がズレていく正弦波のリサジュー図形は以下の様になります。

位相が0度 → 右上がり斜線
位相が90度 → 真円
位相が180度 → 左上がり斜線
位相が270度 → 真円
位相が360度 → 右上がり斜線

なお、相互の位相が連続的にズレて行く場合は、「ここ」をクリックするとその変化のアニメーションが見られます。

No. 33 VOLTS/DIV(垂直感度調整)

VOLTS/DIV(垂直感度調整)

INPUT端子に加えられた電圧を加減し、蛍光面(スクリーン)に適当な大きさの波形を表示させるためのスイッチです。
VOLTS/DIV
なお、VOLTS/DIVスイッチは、右に回すと減衰量が減少し蛍光面(スクリーン)に表示される波形の振幅は大きくなります。逆に、左へ回すと減衰量が増加し蛍光面(スクリーン)に表示される波形の振幅は小さくなります。

ここ」をクリックするとその変化のアニメーションが見られます。

本来ならば、このスイッチをVERTICAL ATTENUATOR(垂直減衰器)と表示するほうが機能的には良いと思うのですが、単位目盛あたりの電圧値を直読する必要から、単にVOLTS/DIVと表示するのが通例になっています。

VOLTS/DIVのVOLTSの意味は、電圧の単位のボルト(VOLT)で、最後のSは複数形のSです。また、DIVはdivision(目盛)の省略形で、蛍光面(スクリーン)上の目盛の1目盛の意味です。

No. 34 VARIABLE(垂直感度微調整)

VARIABLE(垂直感度微調整)

蛍光面(スクリーン)に表示されている波形の振幅を連続的に加減するツマミです。

左端がCH1用、右端がCH2用
VARIABLE
VOLTS/DIVスイッチでは段階的にしか表示波形の振幅を調節できませんが、このツマミを回すことにより連続的に振幅を加減できます。

VOLTS/DIVスイッチを回して波形の振幅を大きめ(6 目盛〜8 目盛)になるレンジにセットし、次に、その横にあるこのツマミを回して波形の振幅を見やすい大きさ(4 目盛〜6 目盛)に調節します。

このツマミを右に回すと、蛍光面(スクリーン)に表示されている波形の振幅は大きくなり、左に回すと小さくなります。

オシロスコープで電圧を測る時には、このツマミを右に回しきった「CAL」の位置にします。その他、単に波形を見るだけの場合はどの位置にあってもOKです。

「CAL」は、calibrate (校正の意味) の略で、このツマミをパネルに表示されている「CAL」の位置に合わせると、その時にVOLTS/DIVスイッチの設定している値が適用されます。

つまり、VOLTS/DIVスイッチが、「0.5V/div」の位置にあって、波形の上のピークから下のピークまでの距離が 2div (2目盛のこと)であれば、
「0.5V/div」x 「2div」= 1V と測定される訳です。

なお、2現象オシロスコープの場合はCH1用とCH2用と二つありますが、全く同じ働きをします。

ここ」をクリックするとその変化のアニメーションが見られます(ただし、GIFアニメーションの為、パソコン画面では連続的には表現できていません)

No. 35 SWEEP TIME/DIV(掃引時間切替器)

SWEEP TIME/DIV(掃引時間切替器)

掃引時間を低速度から高速度まで段階的に可変するスイッチです。
なお、“SWEEP TIME/DIV”ではなく、単に“TIME/DIV”と表示している機種もあります。
SWEEP TIME/DIV
オシロスコープの入力周波数は、超低周波から超短波放送用の周波数まで広範囲にわたっています。信号を波形として見るためには、それに対応した掃引時間で輝点を水平方向に繰り返し移動(実際には掃引と言います)させる必要があります。

そこで、SWEEP TIME/DIVスイッチで掃引時間を加減して、蛍光面(スクリーン)に表示される波形が1周期分から多くても数周期分が見えるように調節します。

SWEEP TIME/DIVスイッチは、右に回すと掃引時間は速くなり見える波形の周期は少なくなります。逆に、左へ回すと掃引時間は遅くなり見える波形の周期は多くなります。

ここ」をクリックするとその変化のアニメーションが見られます。

SWEEP TIMEの意味は、文字どおり掃引時間(秒)で、DIVはdivision(目盛)の省略形で1目盛の意味です。

つまり、SWEEP TIME/DIVとは蛍光面(スクリーン)上で1目盛(水平方向)あたりの時間のことです。例えば、[10 ms/DIV]は1目盛あたり10 ms(ミリ秒)の時間であると言うことです。

No. 36 VARIABLE(掃引時間微調整)

VARIABLE(掃引時間微調整)

SWEEP TIME/DIVスイッチだけでは掃引時間を段階的にしか加減できませんが、その横にあるVARIABLEツマミを回すことにより掃引時間を連続的に加減できるようになります。
VARIABLE
このツマミを右に回すと掃引時間は速くなり、左に回すと遅くなります。

つまり、ツマミを右に回すと表示波形の周期は少なくなり、左に回すと多くなります。

これをアニメーションで示してみます、ただし、GIF アニメの為、連続的には変化していません。「ここ」をクリックしてください。

オシロスコープで時間を測る時には、このツマミを右に回しきった「CAL」の位置にします。その他、単に波形を見るだけの場合はどの位置にあってもOKです。

「CAL」は、calibrate (校正の意味) の略で、このツマミをパネルに表示されている「CAL」の位置に合わせると、その時にSWEEP TIME/DIVスイッチの設定している値が適用されます。

つまり、SWEEP TIME/DIVイッチが、「0.5ms/div」の位置にあって、水平方向の二点間の距離が 2div (2目盛のこと)であれば、
その間の時間は 「0.5ms/div」x 「2div」= 1msと測定される訳です。

No. 37 HORIZONTAL POSITION(水平位置調整)

HORIZONTAL POSITION(水平位置調整)

蛍光面(スクリーン)に表示された波形を左右に移動させるためのツマミです。
HORIZONTAL POSITION
HORIZONTAL POSITIONツマミが可変範囲の中央付近にある時は、波形も蛍光面(スクリーン)の中央にあります。このツマミを右に回すと右の方向へ移動し、逆に、左へ回すと左の方向へ移動します。

これをアニメーションで示してみます、ただし、GIF アニメの為、連続的には変化していません。「ここ」をクリックしてください。

なお、2現象オシロスコープの場合、このHORIZONTAL POSITIONツマミは一つしかありませんから、CH1の波形とCH2の波形が一緒に水平方向に移動し、別々に移動させることは出来ません。

No. 38 ×10MAG(10倍掃引拡大)

×10MAG(10倍掃引拡大)

×10MAGスイッチを押すと、波形が水平方向に10倍拡大されます。
 ×10MAG
通常、水平方向への波形の拡大は掃引時間を速くすることで行っていますが、×10 MAGは「掃引拡大」と呼ばれ、水平増幅器の増幅度をワンタッチで10倍にすることで簡単に実現しています。

この時、掃引時間はSWEEP TIME/DIVスイッチの設定値の0.1倍と掃引時間が一桁速くなります。したがって、この機能を[ON]すると蛍光面(スクリーン)の波形は中央部を基点に左右方向へ10倍拡大されることになります。

これをアニメーションで示してみます、「ここ」をクリックしてください。

No. 39 CAL(校正用電圧端子)

CAL(校正用電圧端子)

オシロスコープでは、付属のプローブ(下の写真)をINPUT端子へ接続して測定を行うため、このプローブを含めた校正が必要です。
CAL
このCAL端子から出力される信号は一般的には以下の様な仕様です。

出力波形 方形波(正極性)
出力電圧 1 Vp-p±3 %
出力周波数 約1 kHz
プローブ
プローブをINPUT 端子へ接続し、先端をこのCAL端子へクリップします。
なお、上の写真ではコードが丸めてあり、実際には1.5 mほどの長さで、これを伸ばして使用します。

CAL端子から出力される校正用信号の波形が蛍光面(スクリーン)に表示され、その波形の形を見ながらプローブの校正を行いますが、ここではそのやり方を省略します。

No. 40 EXT. TRIG(外部トリガ入力端子)

EXT. TRIG(外部トリガ入力端子)

下図右側


外部からトリガ信号を入力するための端子です。入力許容電圧がピーク値で表示され、それを超えない範囲で使用します。
左は接地端子、右はEXT. TRIG端子
接地端子
上図左側

他の機器との間で共通アースをとったり、オシロスコープ自体を接地(アース)するための端子です。

No. 41 TRIGGERING MODE(トリガ・モード選択)

TRIGGERING MODE(トリガ・モード選択)

どのようにトリガ掃引をさせるのか選択するスイッチです。
TRIGGERING MODE
[AUTO] オート(通常はここにセットしておけばOK)
[NORM] ノーマル(信号が入力されると直ちに波形を表示)← 本来の使い方では、これがデフォルトです。
[FIX] 固定(トリガ・レベルを自動的に設定して波形を表示)
[TV FRAME] TVフレーム信号(TVの映像信号のフレーム同期信号専用)
[TV LINE] TVライン信号(TVの映像信号のライン同期信号専用)

No. 42 TRIGGERING SOURCE(トリガ信号選択)

TRIGGERING SOURCE(トリガ信号選択)

トリガ信号を選択するスイッチです。
TRIGGERING SOURCE
[VERT MODE] 自動(通常はここに設定、自動的にトリガ信号を選択する)
[CH1] CH1(CH1の入力信号をトリガ信号にする)
[CH2] CH2(CH2の入力信号をトリガ信号にする)
[LINE] 電源周波数(電源の(50 Hz or 60 Hz)をトリガ信号にする)
[EXT] 外部入力(EXT. TRIG端子の入力信号をトリガ信号にする)

No. 43 TRIGGERING SLOPE(トリガ・スロープ設定)

TRIGGERING SLOPE(トリガ・スロープ設定)

入力信号の電圧が上昇する部分、下降する部分のどちらにトリガをかけるかを決めるスイッチで、通常は[+] にセットしておけばOKです。[+] と[−]を必要に応じて切り替えます。
下がTRIGGERING SLOPE
このスイッチを押したり戻したりすると、蛍光面(スクリーン)の波形がどの様に変化するか、「ここ」をクリックするとアニメーションが見られます。

なお、このスイッチは(直ぐ上にある)TRIGGERING LEVELツマミと関連して使用します。

No. 44 TRIGGERING LEVEL(トリガ・レベル調整)

TRIGGERING LEVEL(トリガ・レベル調整)

入力信号のどの部分にトリガをかけるかを決めるツマミで、通常は中央付近にセットすればOKです。
上がTRIGGERING LEVEL
必要に応じ表示された波形を見ながらこのツマミを回し波形の一番左端の掃引開始部分を調節します。
蛍光面(スクリーン)で波形がどの様に変化するか、アニメーションでみられます。「ここ」をクリックしてください。

なお、このツマミは(直ぐ下にある)TRIGGERING SLOPスイッチと関連して使用します。

No. 45 リアパネルにある機能

リアパネルにある機能

CH1 OUT(CH1信号出力)

CH1 INPUTに入力された信号が増幅され、約50 mV/divの割合でこのCH1 OUTに出力されます。周波数カウンタをここに接続すれば微少信号の波形を観測しながらその周波数を測定できます。
上がCH1 OUT、下がZ AXIS INPUT
Z AXIS INPUT(輝度変調入力)

この端子にTTLレベルの信号を入力することにより、蛍光面(スクリーン)に表示されている波形に輝度変調をかけて観測できます。

No. 46 フロントパネル

フロントパネル

これまでのツマミやスイッチの操作を復習する為に、オシロスコープのフロントパネル図を用意しました。
フロントパネル
ここ」をクリックするとフロントパネル図にアクセス出来ます。操作や機能を知りたいツマミやスイッチの中央付近をクリックするとその説明のページが開きます。

No. 47 オシロスコープの操作方法

オシロスコープの操作方法

測定する信号がCH1に入力された場合のベーシックな操作方法です。
オシロスコープは、入力信号が許容電圧を超えない範囲であれば、ツマミやスイッチが適当な位置にセットされていなくてもすぐ故障する心配はまずありません。

スクリーンに表示される波形を見ながらあちこち操作して、それぞれのツマミやスイッチのファンクションを早く覚えてください。

まず、以下の図に(初心者が初めてオシロスコープを使う時の)それぞれのツマミやスイッチなどの最初の設定位置を示してあります。これはメーカや機種に限らず概ねデフォルトとご理解ください。


電源をONする前にあらかじめ基本ポジションにセット

電源スイッチを[ON]する前に、あらかじめツマミやスイッチをセットしておきます。
機種によって多少は異なりますが、

ツマミは12時方向(真上方向)、
ロータリー・スイッチも12時方向(真上方向)、
レバー式スイッチは、縦方向に並んでいたら一番上、横方向なら一番左、
プッシュ・スイッチも、縦方向に並んでいたら一番上、横方向なら一番左、
単独のプッシュ・スイッチは押さない状態などが一般です。

なお、上図で UP は真上方向を意味します。